第三回 30歳で引退のお話。 |
林 |
今、社長をされていて、
「金持ちになるぞ!」とかではないんですか? |
田中 |
よく色んなところで、
「30代で引退する」とか言ってるんですけど、
あれは金持ちになりたいとかじゃないんですよ。 |
林 |
はい。
読んだことあります。 |
田中 |
うーんとね、あれは、
「今月この仕事しなかったら、
来月食べていけへん・・・」
っていう状態が嫌なのね。
それを30歳で何とかしたいの。
ほんでそっからは、
「夢の国」っていうのがアメリカにあって、
それを日本で作りたいんですよ。
だから、「夢の国」準備期間が30才までで、
30からは、死ぬまでにそれを作りたいな、と。 |
林 |
夢の国?ですか?
それは、何なんですか? |
田中 |
ちょっと長くなる話なんですけど。
とあるアメリカの経営者がいて、
ディズニーランドの近くに、
ホテルを持ってたんですよ。
彼はもう、お金持ちで、
裕福な暮らしが出来ていて、
だいぶん満足してた経営者だったんです。
とある日に、自分のホテルに、
家族連れが泊まりにきたんですよ。
お父さんとお母さんと小さい子で、
1週間くらい泊まってたらしいんです。
それで、3日目か4日目くらいのときに、
その家族が、いきなり、
「帰る」と言い出したんです。
突然言われたオーナーさんは、
不思議に思って、
家族に聞かはったんです。
「どうして帰りはるんですか?
1週間って言うてたのに?」
って。
そしたらその家族が言うには、
「実は、息子が、もう治らぬ病気で、
死ぬまでにディズニーランドに行きたい、
って言ってたから連れてきてたんです。
なのに、息子が死んでしまったから、
もう帰ろうと思うんです」
それを聞いたオーナーが、
「オレは今まで何をしていていたんだろう。
こういう子がいるのに、
自分は、こういう子らに対して、
何も出来てないじゃないか」
と思ったそうなんです。
で、ショックを受けたそのオーナーは、
次の日に、自分の持ってるホテルを全部売って、
広大な土地を買ったらしいんです。
そして、その土地に、
子どもが無料で遊べるところを、
作ろうとしたそうなんですよ。
子どもが来たら、
いつでもアイスクリームが食べられたり、
いつでも遊園地に乗り放題だったり、
そういう子どもの遊べる場所を作ろうと。
そしたら子どもは喜ぶわけじゃないですか。
ただ、実は残念なことに、
そのオーナーは土地を買っただけで
お金が尽きてしまって遊園地を建てられなかった、
っていう、ホントかウソか分からない、
馬鹿らしい話なんですけど(笑)
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林 |
(笑) |
田中 |
でも、まだ続きがあって、
その買われた土地の周りに住んでた人が、
このオーナーに感動して、
「じゃあ、私はアイスクリーム屋やから、
その土地にアイスクリーム店出すわ」
とか、
もぅ、色んな人が感動して、
そこに色んな店を作って遊園地が出来たんです。
それが、今どこにあるのか知らんねんけど、
行きたいんですけど、
誰が行っても、子どもだけは、
タダで遊べるらしいんです。
こういうのがあった、っていう話を聞いて、
これは日本にも欲しいなぁ、と思って。
世界中にあっていいと思うんですよ。
だから、これを作りたいな、と思って、
30から死ぬまでには、これを作りたいなぁ、
と思ってるんですよ。
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林 |
はぁ〜。
すごくいい話ですねぇ。
社会に貢献していきたいし、
でもそのためにはお金が必要やし、
という感じなんですかねぇ。 |
田中 |
そうですね。
準備とかもしとかんとダメですし、
もうすぐ何か始めようかな、と思ってます。 |
林 |
そのための引退なんですねぇ。 |
田中 |
そうそう。
だから隠居して左ウチワな生活をしたい、
とかではないんです(笑) |
林 |
ははは(笑)
そういうの、大好きですわぁ(笑) |
●ワンポイント考察
「夢の国」ですよ、やっぱし。
営利を抜きにして、人に喜んでもらえる事業ってのは、
すっごいカッコいい。
男前ですよねぇ〜。
でも、たなかつさん、
左ウチワな生活も、
魅力的ではございませんか?(笑)
明日へ続く。 |
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